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小指が支える多様な世界

小指が支える多様な世界

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前に、ピアノ弾きのばんどうしづかが、「なんで一番ちっさい小指が、一番低い音と一番高い音を担当するんか、不思議」と話してくれた。
それが印象に残っていて、よく思い出す。
一番大切に扱わないと、他の指と同じくらいの強い音が出ない。小指。

小指は、心臓の経絡というエネルギーラインを通り、肘をターミナルセンターとし、心臓に直結している。
ハートの思いを伝える指だ。

わたしの小指は、何かをかきむしるように、少し折れ曲がっている。
他の指のバネ指は改善してきたから、小指もじきに素直になるだろう。

昨夜は三鷹のスゴ腕セラピスト、智子ちゃんと二人、美味しいビールで乾杯して、彼女の誕生日の前祝いをした。

彼女のビジネス嗅覚はすごい。
数えきれないほどの技術を学び、自己投資し、それをどんどん現実化している。
氣学まで勉強していて、ちゃんとビジネスにも取り入れている。

仕事のお金や人、土地など、大きなエネルギーを動かしたい時、氣学は頼もしい技術だ。

わたしはどうだろう?

氣学や占星術、周囲にはプロの鑑定家もいっぱいいて、興味もあるし、セッションではそれらのエネルギー実体に近いものを扱う。
過去生でも明らかに仕事にしていた痕跡があり、リソースへのパイプも太い。

でも、今生で学ぶ気分に、どうしてもなれない。

自分でやればいいのに。
すごくパワフルなのに。

・・・・・・。
・・・・・・。

なんでやりたくないのか、やっとわかった。

学ぶときに講師先生の口から語られるような成功や幸せの具体例が、ピンとこないから。

今まで出たセミナーも、たいがいは似たり寄ったり。

経済的な成功。
幸せな人間関係。
安らぎの結婚生活。

誰もが幸せになるために生まれてきたと説く覚者もいるけれど、少なくともアインシュタインはそうじゃないし、過去の尺度で語られる切り口の鮮度のわるさに、なんだかもう生まれたときからずっと我慢してきた。

鮮度の落ちたグズグズの刺身が、口に入ってくる感覚。

そうやって語られる幸せに、いつも変換作業をかける。

これは世の一般基準。
これはこの人の基準。

何らかのマイノリティの立場にいると、この変換作業に、妙に長けてしまう。

その度に、首の筋肉がきしむ。

いつの間にか、ありもしない「この世」をこさえて、勝手に息を詰まらせていく。
自分が固定観念に取り込まれて、固定観念そのものになってしまったことにも気づかず。

世を否定して善人面をしていると、ビタミンやミネラルの合成吸収まで落ちてくる。

わたしの小指は、何かをかきむしるように、少し折れ曲がっている。

もういい。我慢は。

変換作業をかけずにすむ世界で、生きよう。
小指がハートの思いを伝えられる世界で、生きよう。

小指が支える多様な世界の、住人でいよう。
森の中から聞こえる、一番低い音と一番高い音でいよう。

そしたらきっと、出会う鑑定家も変わっていくのだろう。