葦江 祝里(Nori Ashie)プロフィール
- 2020.10.10
- About
施術家、ワークショップ講師、オイリュトミー、創作。2015年より合同会社ホリスティック・ウェブ代表。
心身の解放と自己治癒を促すセッション、言葉や感覚に結びついた生理学などのワークショップ、古い知識をアップデートする学び場を提供している。神話、言霊学、芸能、アニメーション、筋トレ、泳ぐこと、読書。
身体と言葉に寄せて
わたしはもともと、言葉というものに興味を持っていた。
あらゆるものを名づけ、価値づけ、人と人とを結び、引き離し、ときに強く心を打ち、ときに儚く移ろい。
体を壊してボディートーク(BodyTalk)療法を受けた時、カラダの言葉に出会った。カラダのコミュニケーションとは、こんなにもおもしろいものなのかと感動した。内臓や筋骨格のひとつひとつに知性が宿る。体に埋め込まれた感情や記憶、脳を動かしている信念プログラムが、無意識の仕草や姿勢、表情、ホルモンバランスに影響する。そして歌や発声や書き言葉からも、ヒトは個性的な表現を発する。
あらゆるものが、言葉と響きに満ちている。
人間の言葉はまだ未成熟で、自分勝手な主張を通そうとしたり、変に謙ったりする。カラダの声を聴く姿勢は、自らを静め、響きに身をゆだねる観音行だ。自然界の響き、生命の神秘、宇宙の法則。思考や感情の奥深いところから、存在そのものが自らを開示するまで、待つ。
体は本来、何が起こっているのか、どうすればいいのかを知っているはずだ。たえず環境や細胞同士とコミュニケーションを取り合い、絶妙なシンクロニシティのもとバランスをとりながら循環している。
生体の治癒や維持だけでなく、人生のステージも、四季の変化も、対人関係も、体の深いところは、自分が何をすればいいかを知っている。自らの癒し方、自らの道を知っている大いなる知恵を、「天生の知恵 = インネイト・ウィズダム」と呼ぶ。インネイトは、心身にとって今、何が優先なのかを教えてくれる。今にフォーカスすることで、過去や未来に振り回されなくなる。
そんな世界観のもと、わたしはボディートークをベースにした個人セッションを提供している。ベースからアレンジした部分は、喉という発声器官を大きくクローズアップしたことだ。
人体の発生学を学んだ時、声の発声と人体組織の発生に深い関わりがあることを知った。その関わりは、フラクタルのように民族や国の成り立ちとも関わっている。
囚われや制限に気づいて外していくことで、わたしたちは魂の力を強め、肉体を持ちながらも宇宙的な根源の力と結びついていく。その過程で、物質世界を改めてとらえ直すこと、体への信頼、自己愛、自己実現、他者貢献へと意識を広げることができる。
施術を通して、クライアントが本来持っている天生の知恵とのつながりを深められるように。
喉を通して、創造的な言葉が降りてくるように。
とくに、日本語が持つ「陰陽をつなぐ力」に注目し、分離体験を超えて統合へ向かおうとする人々の一助にしたいと学んでいる。
言葉と体を直接結びつける身体技法に、オイリュトミーがある。
オイリュトミーは美しいリズムという意味で、ドイツの神秘思想家、ルドルフ・シュタイナーが創設した。音楽や言葉の宇宙法則を身体感覚として体得し、運動表現へと変えていくものだ。
ボディートークと同じく、オイリュトミーもマイナーではあるが、世界各国で熱心な学徒、舞台表現者たちが活動している。
心身/宇宙のすべては収縮と拡散のリズムによって循環している。施術も表現も、領域は違えどやっていることはとても近い。
わたしは、あらゆるリズムと循環に命を吹き込む叡智を秘めた言霊学に魅せられ、今後の舞台表現や文芸創作の核とすべく、セッションやワークショップを現在の生業としつつ、学びと稽古を積む日々を送っている。
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