「体のしくみとはたらき」 #4 神経系 – 良い母親でなければ、という葛藤

ボディートークによる脳神経系のテクニックは多数あります。
わたしは脳のエネルギーバランスと頭蓋仙骨の調整を同時に行うので、実際に頭部に触れさせていただきながら、神経系のバランスとコミュニケーションの再構築を促しています。
●イライラして、不満がたまっていたり、悩みや考え事で頭の中がうるさい時
人にはそれぞれのアイデンティティや信念体系があります。
「私は体が弱い」「本音を言ってはいけない」「人は信じられない」「お金はきたない」などなど。
その人の体験によって作られる信念だけでなく、幼い頃にかけられた言葉は、スポンジに水が染み込むように無意識領域に書き込まれます。
それらの信念システムに照らして、脳神経系は入ってきた情報を判断します。
「お金はきたない」という信念がセットされていたら、お金をいただいたり支払ったりするたびに、罪悪感が湧いてきます。
脳の判断は、まず感情というメッセージで、体や心に届けられるのです。
罪悪感は、胸のあたりに詰まった感じを与え、泌尿器には落ち着きのなさを与えます。
心には、「私の行動は間違っているかも」という抑うつ感や恐れとして届くかもしれません。
そして、そうした感情から自らを守るために、どう対処するかを思考し始めるのです。
信念システムのフィルター、ホルモン分泌、感情、思考の流れは瞬時に、自動的に起こるので、私たちはふだん、心身で起こる感情や思考と一体化して過ごしています。
しかし実際には、「私」とは感情や思考を味わう側にあります。
一体化をそのままにしておくと、感情や思考はべったりと「私」にくっつき、「罪悪感をなくしたい」「もっと喜びのある行動をしたい」と願っても、体も心もなかなか言うことを聞いてくれなくなります。
不満や自己嫌悪は、ますます増えることでしょう。
セッションの場では、いいも悪いもなく、すべてはフィードバックなので、クライアント様の体がどうバランスを取られたがっているか、にしたがって施術を施して行きます。
●症例
40代女性
ストレス過多、東洋医学でいう「気滞」の状態、肩こり、不眠、お腹の膨満感
体を構造としてみた場合、つまり部屋ごとに機能があり連絡しあっている動く建物のように見立てた場合、「気滞」とは文字通り、風通しが悪くなっている状態です。
建物なら窓を開けたり換気ダクトを修理したりしますが、体はどうでしょうか。
実際の症例ではよく、体が優先的に注意を向けてほしい場所として「肝臓」が出てきます。
肝臓のオリエンテーション:
夕食時、学校から帰ってきた子どもが、ずっとクラスメートが嫌だ、部活がきついなどのグチを言いつづけ、母親としてそれを聞いているが、正直うんざりしている。
肝臓の定義:
熱がこもり、空焚き状態
肝臓からのリンクで、「目」
「目」の定義:ドライアイ
さらに肝臓からのリンクで、「神経系」
「神経系」の定義:自律神経のアンバランス
かすれ声で空咳をしているので、主訴にはありませんでしたが、「かゆみは出ていませんか」と尋ねました。
頭や陰部にかゆみがあるとのこと。
肝臓の働きすぎで、体からうるおいが失われた状態です。
心のイライラや体の詰まった感じが不快でセッションにいらっしゃいましたが、実際にフォーカスするのは、肝臓と目、神経系のようです。
セッションはさらに、「何が」その人にイライラ、うんざりという感情的なフィードバックを発しているのか、を突き止めながら、水分バランスを調整していきます。
フィードバックの発信元は、信念システムです。
このクライアント様は、「母親として子供の話をちゃんと聞かなければ」という信念があり、それが葛藤を生んでいました。
サラリーマンが居酒屋で職場の愚痴を言い合う風景はよくありますが、食卓でお母さんに向かって同じことをするお子さんたちもたくさんいるようです。
なんでも話せて、すごく仲がいいように思えますが、お母さんの体は、「アンバランスだよ!」と訴えています。
こうした状態に対して、セッションではいくつかのテクニックがありますが、よく出てくるのは、まず脳のドレナージです。
活性酸素の除去を促進し、脳髄液の循環を促します。とても眠くなります。
そして、頭に触れさせていただいていると、「我慢は美徳」というのが理想の母親像、というアイデンティティが浮かび上がってきたりします。
ご自身の信念ではなく、実母や義母の理想像が反映している場合もあります。
古くなった信念や、自分のものではない信念を持ちつづけているのは、多大なエネルギーロスにつながり、体は必ず、その人を感情的・肉体的にゆさぶって、アップデートするように訴えてくるのです。
アップデートの方向性として、ここでは「母娘の健全なコミュニケーションを学ぶ」と出てきました。
第6チャクラ、第5チャクラの連携を強め、お互いへの思いやりと、言葉の選び方をバランスします。
セッションを終えると、スッキリした感じ、体がつながった感じがあります。
「なんとなくイライラしなくなった」「娘にいつもありがとうと言ってもらえた」「娘の成績が上がった、部活でレギュラーに選ばれた」という感想をいただきました。
クライアント様が「延々と愚痴が続いて我慢して聞かなければ」という理想の母親像を手放したおかげで関係性に変化が生まれ、お嬢さんは、自分で自分に向き合う時間が増え、パフォーマンスが向上したのかもしれません。
外科手術や薬のように、物理的な因果関係はわかりませんが、施術によってエネルギーバランスは必ず変化し、何らかの変化が現れてきます。
2025年5月11日は、母の日です。
家族といいコミュニケーション、とりたいですね!
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