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「体のしくみとはたらき」 #1 外皮系 – 乾燥した皮膚

「体のしくみとはたらき」 #1 外皮系 – 乾燥した皮膚

京王井の頭線三鷹台にて、心身をホリスティックにとらえて調整する施術を提供している葦江祝里(あしえ のり)です。
ここでは、クライアント様の参考にしていただけるよう、つながりのある世界、体の中の不思議について連載しています。

前の記事:「体のしくみとはたらき」#0 はじめに

体の中にはいくつかの内臓器官が埋まっていて、お互いに情報や物質の交換をしながら働いてくれています。そのしくみを「器官系(システム)」と呼ばれる、というお話をしました。

体の一番外側にあるのは、皮膚に代表される「外皮系」です。
皮膚の他に、毛、爪、汗腺、皮脂腺が含まれます。
人間はほぼつねに服を着ていて、温度調節やファッションに気を配っているので、服も「外皮系」の延長と言えるかもしれません。

「外皮系」は、肉体的には「自分の体を持つ」、精神的には「自分を見つける」ことに深く関わっています。

まだ自我がはっきりしていないうちから、赤ちゃんは環境やママのおっぱいと、自分の体を区別していくことを学びます。いろんなものを口に含むので、手よりも先に舌が触覚として役立っているようです。

精神的な自己発見は、大人になってから、対人関係の荒波から学んでいきます。

他人との比較ではなく、内側にかけがえのない自分を見出すことがスタートだとしたら、その内なる光がすべての魂とつながっている実感を得ることが、ゴールになります。
この精神的な旅を、インディヴィジュエーション(Individuation)といいます。

古くから、占星術ではインディヴィジュエーションのスタートを「第一ハウス」、ゴールを「第十二ハウス」と名付け、十二の道標をかかげてきました。

外皮系は、心身両面(精神と肉体)において、旅の始まり、第一ハウスに深く関係します。

人生を「森」に例えてみましょう。
どんな環境にいるでしょうか。

「外皮系」が出会う最初にして最大の問題は、暑いか/寒いか。
地球はマグマオーシャンから始まり、温暖期と氷河期と繰り返してきました。

それから、太陽光線。
皮膚は、紫外線や乾燥へのすぐれた対処法と、発汗や血流調整による温度調節の働きを進化させてきました。

「森」では植物や動物にも出会います。
危険なもの、毒になるもの、栄養になるもの。

複雑な現代生活でも、「森」で出会うものの根本は変わりません。
ややこしい人間関係やハードな課題が、「危険なもの」に加わっただけです。
もちろん危険なものばかりではなく、肌のぬくもりや思いやりも、人が持つあたたかな人間関係です。

このように「外皮系」は、厳しい自然環境や外敵、季節を楽しみ、「森」で生き、「森」を歩んでいきます。

「自分の体と自分の体以外を区別できる」という外皮系の知性は、前回お話しした通り、いくつかの意識を育ててきました。

①自分の体をもつ
②環境から人生を吸い込む
③皮膚や髪の官能性、感受性
④生存に関わる恐れの感情を皮膚に抱く(罪悪感や不安)

これらの意識は、具体的には、皮膚のツヤや髪の健康、感覚の敏感さなどに表れてきます。

「外皮系」で気になる疾患といえば、乾燥、肌荒れ、湿疹、かゆみ、抜け毛などですね。

症状が即、意識のアンバランスというわけではありませんが、症状自体がバランスを取り戻すための排出作業であったり、「自分が誰か」ということについて、変化や成長を促すためのメッセージであるかもしれません。

自分の体と自分の体以外の境界線が脅かされる、または守りすぎて環境とうまく応答できない時、皮膚や髪は言葉の代わりに、外皮系のはたらきをもってわたしたちに語りかけてきます。

体からの言葉は、無意識の領域から発せられます。
だから治癒も、無意識の領域に光をあて、何が起きているのかに気づく必要があります。
「気づき」があるとエネルギーシフトと再バランスが起こり、治癒の可能性が高まります。

体においてエネルギーとは。
構造を制御し、機能を決める体の知性のはたらき
神経系やホルモン系の分泌物を決める勇気や高揚感、喜びなどの感情
食べ物から取り出され、細胞が代謝に使うATPやビタミン、ミネラル

エネルギーシフト(変容)が起こるのは、体が自分でどう働けばよいのか、パターン化された知性のはたらきです。
さらに、体の自然な循環を妨げる感情的負荷の軽減されることで、目の前に見えている世界が変化します。
人はストレスが大きいと、脳は自らを麻痺させたり、有用な情報から遮断させて、体を守ろうとするからです。

心身にエネルギーシフトを起こし、再バランスを促す新たな地図を、「フォーミュラ(方程式)」と呼びます。
外皮系の症状について、わたしの施術(セッション)ではどのような「フォーミュラ」になるか、例を挙げてみましょう。

症状:皮膚炎と円形脱毛

●環境ストレス
外因:徹夜続きの労働
影響先:腎のエネルギー貯金が目減り
生理学:腎のはたらきが低下して水分代謝が滞り、乾燥体質に

●乾燥が強くなった皮膚に起こった意識のアンバランス
仕事を断る罪悪感、職場の不安

●皮膚と髪の官能性、感受性
「自分が我慢すればうまくいく」という信念の軽減を、「ハートチャクラ」にリンク

●環境から人生を吸い込む
差し出すこと、受け取ることのアンバランスが、皮膚で表現されています。
評価の恐れからではなく、豊かさや栄養を受け取る意識へとエネルギーシフトを促します。

●真皮
血液循環を促し、真皮の受容器を活性

主訴はなくても、胃腸のはたらきの低下も、水分代謝や抜け毛に影響します。
また、乾燥は皮膚だけでなく、気管支に出れば気管支炎や肺炎、神経系に出れば自律神経の失調やめまい、白内障などで表現されることもあります。

皮膚炎は、乾燥とは反対に、湿気の滞りで出ることもあります。
こうしたフォーミュラは、解剖生理学、東洋医学、心理学、スピリチュアルのすべてを行き来し、調整のため何にフォーカスを当てるかを明らかにします。
詳細な検査や症状への対処だけではわかりにく分野を、代替療法では取り扱います。