カラダの内界と外界をめぐる血液の旅

カラダの内界と外界をめぐる血液の旅

2020/5/11から9/28にかけて、ほぼ隔週月曜の夜19:30-22:00、オンライン講座「カラダの内界と外界をめぐる血液の旅 全10回」を開催します。もう来週!

いろんな方が参加されるので、ピンと来たりおもしろがったりするアンテナもそれぞれ。まずは血液の旅という風変わりな旅のご案内、イントロダクション、それから4/19に開催した肺の勉強会を改編して、そのおさらいからはじめよう、という趣旨です。GW中に順次公開していきます。

旅のご案内

目に見えない世界を概念で扱っていくと、言葉はどんどん難しくなる。

目に見えない世界を身体と結びつけていくと、体験はおもしろいが、知らない人はただポカンと口を開ける。

とくに、分析的な手法が発展した解剖生理学は、それ自体が複雑で深淵な領域で、高次存在だの惑星からの諸力だのという神秘学が絵空事に聞こえるほど、つけいる隙がない。

日常において、多くの人は、不調か痛みが訪れてからようやく自分の体を感じる。めんどうな治療説明や解剖生理学は専門家に任せるしかなく、あとはいろんな健康法を試してみるくらいだ。

医療から置いてきぼりにならず、不確かな呪術にも迷い込まず、理想のスローライフのコマーシャルもほどほどに付き合いつつ、生き生きとした全体性の中に、もう一度わたしたちが自分の体を置きたくなるようなガイドラインをつくりたい。

どう手をつけていくか思案していたところ、桜沢如一の著書『東洋医学の哲学』に出会った。桜沢如一の原理は、東洋がもともと持っている「易」を用い、概念化した部分を抜いて、ものの形・色・重さで陰陽に分ければいいという、ごくシンプルなもの。

そうやってみると、宇宙的な諸力は求心力・遠心力の織りなす幾何学的な光の波長となり、分子の活動は、熱をともなう収縮と拡がりになり、すべての対立が相互補完であるように収まっていく。

「これはいい、これならガイドラインのガイドになってくれる」と思った。

体内の活動の多くは自律神経系でバランスされている。昼夜働きつづける体を司る、神の二本の手。「自律神経系を人間の側からコントロールできるのは食だ」として、桜沢如一は食療法を世界に大成した。

食は体の中で何になっているのか。それは血だ。食物は消化吸収されて血液に入る。

ここまできて、わたしは治癒や健康の考え方から少し離れ、目線を上げた。なぜ野生動物は神の二本の手に食をゆだねることができ、人間は食をもって体をコントロールしているというより、野生から離れて神経症的に化学物質を使い、地球から化石燃料を掘り続けているのかと。

それは、自我があるからだ。

自分自身という意識をもち、感覚や感情、思考をもち、記憶をもち、それによって手段を用いることができるから、幸福を求めて高度な文明を築くことができた。

自我と血液について、ゲーテは作品『ファウスト』の中で、悪魔メフィストフェレスに「血はまったく特製のジュースだ」という言葉を吐かせている。悪魔は血の誓約書がお好きだ。

なぜ悪魔が人間の血を求めるのか、もう少し話を進めよう。

シュタイナーが霊性と人体の関係について、はじめて一般向けに講義したのは、1911年プラハでのこと。この連続講義は日本では『オカルト生理学』の名で書籍化されている。

六日目に、人間の血についての記述がある。

人間の自我、つまり感覚や感情、思考を自分のものとして受け取る意識に、血液は体のどの組織よりも早く反応し、変化する。体験はそのまま、血液の動きとなる。

そして血液は体内で、他のすべての器官系に依存して巡っている。体のあらゆる器官は、血液が動物とは違う自我の表現になれるようすべてを準備している。

腕を地上から自由にし、骨盤を立てて絶妙な重心バランスを見出し、頭蓋骨を天に向け、自我体験を言葉に出せるようにした。

悪魔が血を求めるのは、人間だけがもつ自我の体験と表現の自由を奪うためだ。

人体には形式がある。二足歩行の骨格には二足歩行の骨格形式が、循環器には心臓が心臓の形をとるための形式がある。

世界的な解剖学者三木成夫は、「しかけしくみの解剖学」ではあたまが主役になるのに対して、「すがたかたちの解剖学」ではこころが主役になる、といった。

多くの先人のガイドを借りつつ、人体の姿・形の中で、血液がどんな旅をしているのかを描いてみたい。

血液たちは、呼吸で外界ともつながり、感情によっても激しく動き、わたしたちがまだほとんど知覚体験できない内臓の世界もたっぷり堪能しているに違いない。

血液の旅は、何かマスタープランのような大きな計画に沿うのではなく、あちこちブラブラしながら、それこそ日本の神話のように、八百万の神さまがどんな細部にも絶妙な技を見せて働いていることに目をみはるような旅になるだろう。

血液。この火なるもの、水なるもの。

体内で唯一の流動組織体である血液が、わたしたちのもつ自我の見える形なのだとしたら、この赤き血と旅をともにすることで、まだ眠っている自我を少しでも目覚めさせることができるかもしれない。

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